以前に大型二輪免許の教習を受けている話を書いたが、おかげさまで無事合格して、今年の3月に大型バイクを購入していたので、メモをしておく。

これといって「絶対に乗りたい」という大型バイクがあるわけではない

と前出の記事には書いていたのだが、この時点では確かにそうだった。しかし、2024年9月にレッドバロンが開催していた ステップアップ試乗会 に参加してからは話が違った。このとき試乗した、ヤマハの MT-09 に一目惚れしてしまったのだ。

MT-09SP納車時のすがた

そしていま、このバイクが私の手元にいる。以下、MT-09 に決めるまでの経緯をつらつら(だらだら)書いていく。

大型二輪免許を取得したあと、各メーカーのラインナップをひととおりチェックしていた。所有している Vストローム250 の上位車種や、同じスズキの大型車ラインナップを中心に、自分の体格・技術・住居事情・懐具合なども考慮し、いくつか候補を絞り込んだ。

Vストローム250に乗って感じたのは、やはり自分には小さいバイクのほうが良いということだった。背も小さく筋力も体力もない自分には、200kg超えの大型バイクはしんどい。走っているときはいいが、停車しているときの取り回しがとにかくしんどい。それに身体に合わせようとするとカスタムが必須で、これもお金がかかる。また住居事情的に、Vストローム250 よりも大きなバイクは保管場所の確保が困難な恐れがあった。本当に惚れ込んだバイクなら、これらのハードルも越えられるかもしれないが、そこまでしたいと思える一台にはなかなか巡り会えなかった。

ちなみに Vストローム250 は「そこまでしたいと思える一台」なので、購入時に心配された車格が大きすぎる点はハードルにはなっているが、数少ない弱点のひとつぐらいで、自分としては納得できている。ただそういうバイクがなかなか見つからなかった。ステップアップ試乗会に参加したのは、乗ってみないとわからない魅力が発見できるかも、と思ってのことだった。

この時点で候補にあがっていた大型バイクたちは以下だった。

  • Honda Rebel500 短足にやさしい低車高、ゆったり乗れそう、マイナー車なのもいい
  • Suzuki GSX-8S 車体の横にある8Sのロゴがかっこいい、電子制御があってガジェット的な楽しさがありそう
  • Suzuki SV650 安いし乗りやすそう、短足にもやさしい
  • Yamaha MT-07 車体が軽くて扱いやすそう、値段も大型にしては安い、未来ぽいデザインがいい

このうち、ステップアップ試乗会で乗れたのは MT-07 だけだった。乗ってみた感触はかなりよかった。大型の教習車より乗りやすいのではと思えるほどしっくりきた。ただちょっとすんなり乗れすぎて、物足りない感じもあった。その上位機種である MT-09 の展示もあった。じつはこのバイクは Vストローム250 とほぼ同じ重さなので気にはなっていたが、足が届かないおそれがあったので候補には入れていなかった。しかしいくつもの重量級バイクたち(スズキの隼とか…)に乗っているうち、あ、こっちも乗ってみるか、と欲がでた。

そうしたらむちゃくちゃ楽しかったのである!!!

排気量を感じさせない軽いフィーリング、走らせるのがとにかく楽しい。試乗なのに思わずスタンディングしてしまうぐらい楽しかった。なにこれ!すごい!ほしい!!!

心配されていた足つきもかろうじてクリア。あとから知ったがローダウンキットで着座位置を20mm下げることができ、そうなるとシートの地上高は 800mm で Vストローム250 と同じになる。乗るための物理的なハードルもなくなり、もうすでに購入が決まっていたようなものだったが、唯一にして最大のハードルがあった。価格だ。予算を大幅に上回っていた。

そこから苦難が始まった。予算内の SV-650 と GSX-8S にもその後試乗してみたが、同じメーカーのせいか乗り味が Vストローム250 にとても似ている気がして、嫌いではないのだが似たバイクは二台はいらないな…となった。(Vストローム250 を手放したくなかったのでそのような判断となっていた)Rebel500については、ホンダが Rebel E-Clutch を発表したときに 500cc だけ適用対象にならなかったことで、なんとなく気持ちがしぼんで、候補から外れた。

それじゃあどうする? ほんとうに乗りたいのはなんだ? 私は MT-09 のことを忘れることができなかった。こうなると、もう覚悟を決めるしかない。

価格帯的にローンの適用も十分現実的ではあったが、私は可能な限り借金をしないで生きていきたい人間なので、それは避けたかった。Vストローム250も売りたくない、借金もしたくないとなれば、もうエイヤってしてあぎゃぎゃってする 1 しかない。住宅ローンを除けば人生最大の買い物だった。すごいストレスで胃腸をやられかけたので、もうやりたくない。

こうして、MT-09 SP 2024 が私のところにやってきた。ハイオクガソリンしか飲めないお嬢様だ。

買ってすぐ、道の駅めぐりに行ったり、500km/day ぐらい走ったりしたが、とにかくパワーがすごい。それでいて小柄で、停車時の取り回しも楽。動きが機敏。筋肉で身がひきしまっているアスリートのようだ。電子制御が満載の車体はサイバーでガジェット感にあふれている。令和のバイクである。

とにかく乗っていて楽しいが、音と振動が結構あるので、何泊もするようなロングツーリングは Vストローム250 のほうが疲れがこなくて向いていそうな気もする。そのへんも楽しみつつ、明らかにしていけたら、と思う。


  1. ドラゴンクエスト10に登場する、役に立たないものを集めるのが大好きな人物・ダストンさんの口癖。 ↩︎